マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の受賞作が決まった。「マンガ大賞」は山下和美さんの「ランド」(講談社)、新生賞は「葬送のフリーレン」(小学館)の山田鐘人(かねひと)さん(原作)とアベツカサさん(作画)、短編賞は野原広子さんの「消えたママ友」(KADOKAWA)と「妻が口をきいてくれません」(集英社)、特別賞は吾峠(ごとうげ)呼世晴(こよはる)さんの「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」(集英社)が選ばれた。
贈呈式は6月3日に東京・築地の朝日新聞東京本社で。マンガ大賞には正賞のブロンズ像と副賞200万円、新生賞、短編賞、特別賞にはそれぞれブロンズ像と副賞100万円を贈る。(小原篤)
社外選考委員
秋本治(漫画家)
桜庭一樹(小説家)
里中満智子(マンガ家)
高橋みなみ(タレント)
中条省平(学習院大学フランス語圏文化学科教授)
トミヤマユキコ(ライター・東北芸術工科大学講師)
南信長(マンガ解説者)
矢部太郎(芸人・漫画家) ※敬称略、50音順
選考の経過
選考対象は昨年刊行・発表された作品。最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票した1次選考の上位9作と、専門家や書店員の推薦1位の作品を合わせ、ウェブ会議方式の最終選考会で議論した。
マンガ大賞は長大な物語を見事に完結させた「鬼滅の刃」「約束のネバーランド」「ランド」の競り合いに。昨年に続き1次選考と推薦で1位の「鬼滅」を推す声が強かったが、議論の過程で「ランド」が、「現代の抱える多様なテーマを抱えながら高らかな人間賛歌となっている」(中条)と支持を集めた。「鬼滅」は、社会現象を生み出した功績を理由として朝日新聞社が特別賞に決めた。
斬新な表現に贈る新生賞は、「冒険の終わりから物語が始まるのがユニーク」(高橋)と評価された「葬送のフリーレン」の作者に。短編賞は「絵柄と内容のギャップも、オチも強烈」(南)として、野原広子さんの2作で意見がまとまった。
1次選考結果(5位まで)
①鬼滅の刃(吾峠呼世晴、集英社)=12点(秋本5、里中4、高橋3) ※関係者推薦1位
①約束のネバーランド(原作/白井カイウ、作画/出水ぽすか、集英社)=12点(南5、秋本4、里中3)
③かしこくて勇気ある子ども(山本美希、リイド社)=10点(桜庭5、矢部5)
④葬送のフリーレン(原作/山田鐘人、作画/アベツカサ、小学館)=7点(桜庭4、高橋3)
⑤青野くんに触りたいから死にたい(椎名うみ、講談社)=5点(桜庭3、南2)
⑤呪術廻戦(かいせん)(芥見(あくたみ)下々(げげ)、集英社)=5点(高橋5)
⑤薔薇(ばら)はシュラバで生まれる【70年代少女漫画アシスタント奮闘記】(笹生那実、イースト・プレス)=5点(トミヤマ5)
⑤ペリリュー ―楽園のゲルニカ―(武田一義、原案協力/平塚柾緒(まさお)〈太平洋戦争研究会〉、白泉社)=5点(里中5)
記者イベントのお知らせ
◆第25回の選考委員を務めた里中満智子さん、中条省平さん、矢部太郎さんをゲストに迎えた記者イベント「白熱の最終選考会を振り返る!」をネットで公開します。6月25日午前9時から2カ月限定。朝日新聞デジタルの会員であればどなたでも視聴できます(登録無料)。http://t.asahi.com/wkccから申し込みを。QRコードから申し込みできます。
視聴後のアンケートに回答いただいた方の中から抽選で25人に、第25回の記念小冊子と記念ピンバッジ(ブラック・ジャック)をセットでプレゼントします。
マンガ大賞に「ランド」、特別賞は鬼滅 手塚治虫文化賞 [手塚治虫文化賞] - 朝日新聞デジタル
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