尾鷲市内の山々を尾根伝いにつなぐ登山道「尾鷲トレイル」のマップを、尾鷲商工会議所女性部が発行した。近年、山岳レース「トレイルランニング」の人気が高まっており、愛好者に尾鷲の山を走ってもらうとともに、登山やハイキングにも役立ててもらうのが狙い。女性部は「マップを手に何度も尾鷲に足を運んでほしい」としている。
尾鷲の市街地は東が熊野灘に面し、残る三方は山々に取り囲まれている。尾鷲トレイルは、山々の尾根を伝って、市街地の北と南を「Ｃ」の字でつないだ４２・１９７キロの山道。９年ほど前、地域の登山愛好家らが道を切り開き始めた。
アップダウンが激しく、コース最高峰の高峰山は標高１０４５メートル。冬には雪が積もることもある矢ノ川峠や、世界遺産・熊野古道の難所として知られる八鬼山なども越える。累積標高は４０００メートルと過酷な道のりだが、コース沿いには樹齢１０００年を超える巨木やツバキ科の落葉樹・ヒメシャラの群生地などがあり、雄大な自然を満喫できる。
トレイルランニングは、山道や林道など、主に未舗装地を走る中長距離走で、各地で大会が開催されている。２０１７年、地元の男性が尾鷲トレイルを１３時間で完走したことなどが口コミで評判となり、全国からプロのトレイルランナーや学生らが訪れるようになった。初心者でも走りやすい区間もあるため、女性部が観光資源として売り出そうと考え、同年、マップ制作に取りかかった。
市内で測量会社を経営していた男性が、現地を計５回歩き、全地球測位システム（ＧＰＳ）とスマートフォンのアプリで計測し、地図上に落とし込んだデータを使用。女性部は、見所の写真や、コース途中で下山するための道順などを加えて、マップを完成させた。地元の登山愛好家のグループが、草刈りなど、コース整備に協力した。
マップ制作委員長の野田隆代さん（６４）は「全部で２３ある山頂の、どこからでも海が望めるのが、このコースの魅力」と語る。力試しに１日で踏破を目指す人もいるが、「４、５日に分けて歩くのが一般的で、それでも相当な健脚でないと厳しい。無理せず楽しんでほしい」という。
マップは税込み１０００円。尾鷲商工会議所（０５９７・２２・２６１１）で販売している。
尾鷲トレイル地図発行 商議所女性部 - 読売新聞オンライン
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