経済産業省の職員情報の管理業務などを受注していた東京の情報システム会社が、おととしまでの3年間、税務申告を一切行わず、法人税およそ8500万円などを脱税したとして、東京国税局から告発されました。
この会社は税務署から税の未納分がないことを示す「納税証明書」の発行を受けて、国の入札に参加していたということで、国税庁は「証明書が悪用されないよう今後、対応を検討していく」とコメントしています。
告発されたのは東京・世田谷区にある情報システム会社、「リンクオフ」と小池隆志代表(53)です。
関係者によりますとこの会社は、経済産業省や防衛装備庁の入札に参加し、職員情報のデータベースの管理業務を受注するなどして売り上げを伸ばしていました。
しかし、2013年以降、一切税務申告を行っていなかったということで、東京国税局は資料などから確認が取れたおととし12月までの3年間に法人税およそ8500万円と源泉所得税およそ1800万円を脱税したとして、会社と小池代表を法人税法違反などの疑いで東京地方検察庁に告発しました。
脱税で得た資金は小池代表が遊興費などに充てていた疑いがあるということです。
一方、この会社が受注していた国の事業の入札では、税務署から税の未納分がないことを示す「納税証明書」の発行を受け、提出することが参加の要件になっていたということです。
この会社は、無申告の状態が続いていましたが、税務署は法律に基づいて証明書を発行していたということで、国税庁は「証明書が悪用されないよう今後、対応を検討していく」とコメントしています。
NHKは小池代表に取材を申し込みましたが、これまでのところ回答はありません。
国税庁によりますと、税の未納分がないことを示す「納税証明書」は、法律上申請があれば発行する必要があるため、修正申告したのに未納分がある場合などを除いて原則として無申告の事業者にも発行されるということです。
関係者によりますとこの会社に対しては、税務申告が行われなくなった2013年以降、税務署の担当者が所得の状況について、何度も確認を求めたものの、代表の体調不良を理由に問い合わせに応じていなかったということです。
国税庁の元職員で税務行政に詳しい青山学院大学の小林裕明教授は「『納税証明書』は国税通則法で形式的な要件が整えば発行する規定になっていて、無申告でも発行しなければならないという一種の限界がある。しかし、納税証明書は公共入札への参加や融資の申し込みなどさまざまな場面で使われている実態があり、証明書として発行する以上、無申告者に対する発行には一定の慎重さが求められる。証明書の発行を受け付ける管理部門と課税部門が連携して適正な申告や納税につなげられるような対応を考えるべきだ」と話しています。
経産省業務など受注業者 税務申告行わず脱税か 国税局が告発|NHK 首都圏のニュース - nhk.or.jp
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