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Thursday, August 17, 2023

令和3年発行「新500円玉」を全然見かけないのは何故?あまり流通しない理由 - otona-life/オトナライフ

令和3年11月1日から発行が開始された新しい500円硬貨。令和3年には2億枚が発行済み。しかし「2億枚」も発行されている割に、実際に手にする機会は少なく、まだ見たことがないという人も多いのではないでしょうか。

では、なぜ新しい500円硬貨はあまり流通しないのでしょうか?その理由と、新しい500円硬貨の特徴について解説します。

令和3年発行開始「新500円玉」を見かけないのは何故?

新しい500円硬貨は偽造防止技術の強化などの観点から、従来の500円硬貨とは異なるデザインや素材、加工技術へと変更されました。

令和3年発行開始「新500円玉」を全然見かけないのは何故?1

旧500円玉で使われている素材はニッケル黄銅のみ。そのため、見た目は一色でした。しかし、新500円玉は外側のリングがニッケル黄銅で、内側は2枚の白銅で銅を挟んでいるという3層構造。最先端技術が施されていますが、実は筆者も1度しか実物に巡り合ったことはありません

後述しますが、新しい500円玉があまり流通しない理由には、キャッシュレス決済の普及や対応コストを理由に自動販売機や券売機の対応が進んでいないことが挙げられます。

新500円玉の特徴

新500円玉の特徴を詳しくご紹介します。

そもそも従来の500円玉との違いは何?

前述の通り、新500円玉にはニッケル黄銅、白銅、銅という3つの素材が使用され、側面には大量生産型貨幣で使用されるのは初めてだという「異形斜めギザ」という斜めのギザギザ、フチに「JAPAN」「500YEN」の文字があるといった特徴があります。

そもそも従来の500円玉との違いは何?1

こちらは旧500円玉。前述した通り、素材はニッケル黄銅のみのため、新500円玉より若干軽くなっています。フチは等間隔のギザギザとなっています

それぞれの特徴は以下の通りです。

  新しい500円貨 従来の500円貨
素材 3種類(ニッケル黄銅、白銅、銅)
<バイカラー・クラッド>
1種類(ニッケル黄銅)
重さ 7.1グラム 7.0グラム
大きさ 直径26.5ミリメートル(同じ)
側面 異形斜めギザ 斜めギザ

発行時期

新500円硬貨は、令和3年11月1日から発行(日本銀行から金融機関への支払)を開始。2000年以来、21年ぶりの新しい500円玉の発行となりました。

発行枚数

新500円玉は令和3年度に2億枚が発行され、その後も発行され続けています。

従来の500円硬貨は引き続き使える?

従来の500円硬貨は、新500円玉が発行された後も引き続き利用可能です。2023年現在では500円玉が流通しやすい自動販売機や券売機では「旧500円玉」にしか対応していないケースも多く、新500円玉は流通こそしているものの消費者目線では「まだまだあまり実用的ではない」のも事実です。

なぜ新500円玉はあまり流通しないの?新500円玉への対応が遅い理由

新500円玉があまり流通していない原因として、自動販売機や券売機の刷新にかかるコストが大きいこと、世界的な半導体不足などが挙げられます。

自動販売機や券売機の刷新にかかる費用・コストが大きい

最大の理由は、やはり500円玉を使う機会が多い「自動販売機」「券売機」などでの導入が中々進まないことにあります。

自動販売機や券売機の刷新にかかる費用・コストが大きい1

たとえば街中の自動販売機の中にはコインセレクター(硬貨選別機)が入っており、新しい硬貨を認識するにはコインセレクターを交換するか、自動販売機ごと刷新する必要があります。しかし自動販売機を機械ごと取り替えるのはコストが大きく、全国の自動販売機をすべて交換するには時間も費用もかかります。画像引用元(一部編集部にて画像加工):【左】日本コカ・コーラ公式ウェブサイト 【右】サントリー公式ウェブサイト

また「新500円玉への対応の優先度」というのも無視できない一面です。この記事をお読みの方の中にも、自動販売機でドリンクを購入する際は、Suicaなど交通系ICや電子マネー、またPayPayをはじめとするキャッシュレス決済を使用している人は多いのでは。

自動販売機や券売機の刷新にかかる費用・コストが大きい2

たとえばコカ・コーラ ボトラーズジャパンの自動販売機では15種類以上のQRコード決済が利用可能となるサービス「QR de決済」を導入。PayPayやLINE Pay、d払い、au PAYなど主要なQRコード決済には一通り対応しています

QRコード決済やSuicaなど交通系ICに対応している自販機であれば、新500円玉への対応の優先度は相対的に低く「すぐにはコインセレクターや本体を取り換える必要はない」と企業側が判断するのも無理はないでしょう。

参考元:コカ・コーラ ボトラーズジャパン

世界的な半導体不足

自動販売機や券売機などの機器における新しい500円硬貨への対応には、半導体が必要です。しかし、現在世界的に半導体不足が起きており、それが機器の改修や交換を遅らせています。そのため新500円玉があまり使われず、流通しない原因になってしまっています。

【詳細】実はすごい!新500円玉に使われている様々な技術

冒頭でも軽く触れた、新500円玉のさまざまな技術をあらためてご紹介します。

「バイカラー・クラッド」

「バイカラー・クラッド」とは、2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む「クラッド技術」と、別の種類の金属でできたリングに円板をはめ込む「バイカラー技術」を組み合わせた技術のこと。

「バイカラー・クラッド」1

この技術により、表面は金色と銀色に分かれる2色に。偽造防止だけでなく、視覚的にもわかりやすくする効果があります

(画像引用:財務省公式ホームページより)

「異形斜めギザ」

「異形斜めギザ」とは、側面に施されている斜めギザの一部(上下左右4か所)が他のギザと異なる形状になっている技術。

「異形斜めギザ」1

これにより、触ったときにも新しい500円硬貨であることがわかりやすくなります。また、この技術は通常貨幣(大量生産型貨幣)への導入は世界初です

(画像引用:財務省公式ホームページより)

 「微細文字」

「微細文字」とは、裏面に「JAPAN」「500YEN」の文字が縁に沿って微細に加工されている技術です。

「微細文字」1

この文字は肉眼ではほとんど見えませんが、拡大鏡などで見るとはっきりと読めます。この技術は偽造防止だけでなく、国際的な認知度やブランドイメージの向上にも繋がっています

(画像引用:財務省公式ホームページより)

まとめ

新しい500円硬貨は、偽造防止技術に優れた硬貨ですが、その反面、自動販売機や券売機などの対応が遅れており、まだ一般に広く普及していないのが現状です。しかし、今後も徐々に流通量を増やしていく予定であり、新しい500円硬貨を手にする機会も増えていくでしょう。

もし新500円玉を手に入れた際には、硬貨の先進的な技術が詰まったコインを一度、じっくりと見てみてください。

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