野村ホールディングスが29日、起債したドル建て社債の発行を取りやめた。すでに条件決定した社債の発行が取り消されるのは珍しい。
発行を中止したのは米国時間23日に起債した総額32億5000万ドル(約3600億円)の 3本立て債で、29日に発行する予定だった。野村HDは29日朝、米子会社で顧客との取引に起因し多額の損害が生じる可能性のある事象が発生したと 発表。これに伴い社債発行をいったん見送り、「業績に与える影響が判明後、適切な開示を行った上で再発行を検討する」と 説明した。
事情に詳しい関係者によると、損害はタイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントによる取引巻き戻しに 関連している。
一連の発表を受けて野村HDの社債保証コストは29日、大幅に上昇する気配となっている。クレジット・デフォルト・ スワップ(CDS)トレーダーによると、ミッド・スプレッド(ビッドとオファーの中間値)は60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後と、CMAによる前営業日終値(41.61bp)を上回る。東京株式市場で野村HD株は一時前営業日比17%安と、2011年3月以来の日中下落率となった。
過去にはオーストラリアの建設会社レンドリース・グループが18年に条件決定した社債の発行を取りやめた例がある。
野村HDが異例の社債発行中止、起債済みの32.5億ドル-米子会社損害 - ブルームバーグ
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