【バンコク=岩崎健太朗】国軍が統治を急ぐミャンマーでは、市民の抵抗の勢いをそぐための情報統制が続いている。メディア関係者の大量拘束や通信回線の遮断で、情報が伝わりにくい状況下で、若者らが手製の新聞で対抗する動きも出ている。
新聞のタイトルは「春の声」。市民が自らの抵抗運動を「春の革命」と呼んでいることになぞらえた。デモ現場の記事や写真を掲載。4月初めからフェイスブックやツイッターにファイル添付し、連日配信。A4判表裏に収まり、読者に自由に印刷してもらう。「情報過疎になった人たちにひそかに読んでほしい」といい、大学生や20代の若者が取材、編集に携わる。
クーデター以降、メディアや市民は銃撃や不当な拘束を国内外に発信し続けるが、国軍は徹底した弾圧を続ける。3月には民間主要メディアの免許を一斉にはく奪。4月末にも北部カチン州を拠点とするメディアに発行停止を命じるなど、締め付けを緩める気配はない。人権団体によると、70人以上のジャーナリストを「虚偽ニュースを流した」などとして訴追。うち40人以上が今も拘束中だ。
携帯電話の通信サービスなども4月以降、ほぼ遮断。国民の8割程度が自由にネットに接続できない状況という。国営放送などは「統治は正常化に向かっている」と伝え、700人以上とされる市民の犠牲者を約250人と発表。「人権団体の集計は虚偽の情報に基づく」と主張している。
国軍の目を逃れながら活動を続ける「春の声」メンバーの20代男性は「ネットの遮断で正しい情報の流れが止まり、国軍によるフェイクニュースが拡散されている。デモ隊や市民の本当の声、民主派の挙国一致政府(NUG)の考えを伝えていくのが私たちの役目」と話した。
関連キーワード
情報統制進むミャンマー 若者が新聞発行で抵抗「デモ隊や市民の本当の声伝える」 - 東京新聞
Read More
No comments:
Post a Comment