与那国町教育委員会が3月に発行した「どぅなんむぬい辞典」は、豊富な例文で島の風景を描いている。読んでこその辞典だと思う▼「きくつぁん」(蒸し暑い)には「かつお節を作る工程の中でも、夏の焙乾は蒸し暑くて大変だったよ」という例文がある。かつては島の代名詞だった産業の姿がよみがえってくる▼「港の出入り口」は「てぃー」という短い言葉で表現される。例文は「波多(なんた)の出入り口はよく艀(はしけ)が転覆する難所だったよ」。「ナンタ浜は、与那国島の人の心が晴れ晴れとするところです」。これは「どぅぐる」(場所)の例文である▼海の存在は、島で感染が広がる新型コロナウイルス対策とも無関係ではない。29日付本紙によれば、県から島に看護師4人が派遣された。別の記事では、竹富町の状況を検証し、感染者や患者の輸送に関する課題を指摘している。どちらも海を渡るという点がポイントだ▼来年は復帰50年。島の医療サービスはどう変わったのか▼「与那国の人間はもっと団結しないといけないね」との例文は、「どぅなん」(与那国)の項にある。持ち前の団結力で難題を乗り越えてほしいという思いは、筆者の一方的な願望にすぎない。ページをめくりながら、島の姿について考えてみたくなる辞典である。(松田良孝)
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