米財務省の四半期定例入札でこれまで大きく膨らんできた中長期債の規模は、数カ月後の四半期入札では約5年ぶりに縮小する。ウォール街のディーラーがこうした見方を示している。縮小の規模は非常に大きく、今後見込まれる米金融当局による債券購入縮小による影響を相殺して余りあるものになる可能性が高いという。
財務省は4日に、四半期定例入札での中長期債入札の規模を発表する。大半のディーラーは、今回はこのところ続いている1260億ドル(約13兆8000億円)から変更はないとみているものの、多くは11月からの規模縮小計画について当局が明らかにすると予想する。財務省は通常、今後の債券発行戦略に変更がある場合には入札規模発表の際に説明している。
米四半期定例入札、過去最大規模を維持-中長期債1260億ドル
トランプ前政権時代の減税と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う緊急支出を受けた連邦財政赤字の急増により、国債発行額は長期にわたり増え続けてきた。議会は現在、インフラと社会保障への新たな歳出を巡り協議を続けているが、複数年にわたるこれらの計画では新たな歳入に関する措置も計画されており、借り入れニーズは低下する見通しだ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の金利ストラテジスト、メガン・スワイバー氏は「政府の資金調達ニーズは2021年から22年にかけて急激に低下する見通しだ」と指摘。「財務省は早めに国債発行規模の縮小を開始する必要があるだろう。でなければ、資金過剰に陥りかねない」と述べた。
エコノミストの予想通りであれば、入札規模の縮小は金融当局が国債購入を縮小する時期に重なりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週、将来における債券購入のテーパリング(段階的縮小)について当局者らが議論を開始したことを明らかにした。アナリストらは、2022年の早い段階でのテーパリング開始を見込んでいる。
JPモルガン・チェースは、財務省短期証券(Tビル)を含む国債の純発行額は22年に1兆4600億ドルと、今年の水準から約8600億ドル縮小すると予想。中長期債だけで見ると、来年の純発行額は今年と比べ約1兆ドル減る見通しだという。
一方で金融当局はテーパリングの開始により22年における流通市場での中期債購入額が3160億ドルと、今年の9600億ドルから減少するとJPモルガンはみている。
米国債の発行額減少により、2013年に見られたような「テーパー・タントラム」が再び起きるとの根強い懸念が一層緩和される可能性がある。ここ数カ月の米国債利回り低下は、既にそうした懸念の抑制に役立ってきた。
原題: Tide of U.S. Debt Set to Recede, Countering Effect of Fed Taper(抜粋)
膨らんだ米国債発行、今後は減少へ-金融当局のテーパリングを相殺 - ブルームバーグ
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