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Tuesday, August 31, 2021

戦意高揚し国民を動員、国発行の「写真週報」展示 - 朝日新聞デジタル

北沢祐生

 【長野】戦時中、国威発揚のために国が発行していた週刊誌「写真週報」が須坂市文書館(旧上高井郡役所)で展示されている。戦後76年の企画展。A4判・数十ページの冊子からは、人々が戦争に動員されていく様が浮かび上がる。

 写真週報は、当時の内閣情報部が1938年2月に創刊し、45年7月まで計370冊を発行。うち同市の民家で96号(39年12月)から314号(44年3月)までの212冊が見つかり、同館に寄付された。

 「終戦間近の号がないのは残念でしたが、国家の威信をかけたプロパガンダの資料が処分されずに残っていたのは貴重なこと」と同館の大塚尚三専門員。原本は保管し、複写した100枚以上をパネルにするなどして展示した。

 大塚さんが特に注目したのは、日仏で活躍した画家の藤田嗣治(1886~1968)による表紙(41年7月、175号)だ。従軍し、戦争画を描いていた藤田。「どんな思いで戦意高揚の一翼を担っていたんでしょうか」

 もう1点が、靖国神社に参拝する昭和天皇の写真(同10月、192号)。見開きの右側ページは白紙になっているが、「(左側の)天皇の姿を汚しては不敬にあたる」との判断によるものだったという。

 ほかに、軍事同盟を結んでいたドイツの金属回収の様子とともに「私もヒトラー総統を助けましょう」と呼びかけるポスター(同4月、165号)や、物不足が深刻化する中、「要るものをいつでも買えないといって不平を言うなんて、それでよいのでしょうか」と節約を強調する記事(同10月、191号)なども目を引く。

 大塚さんは「週報には、国民を犠牲にしても構わないという為政者の考えが色濃く出ている。市民が情報を見極めるためにも、真実を伝えるメディア、報道の役割の大切さを改めて思わせてくれる」と話す。展示は10月8日まで。(北沢祐生)

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