
新型コロナの感染対策と経済社会活動の両立に向け、ワクチンの接種証明を活用する動きが広がるなか、接種したことを示す「接種済証」や「接種記録書」について、紛失などの問合せが相次ぎ、東京23区では少なくとも1万6000件分を再発行していたことがわかりました。
政府は、再び緊急事態宣言が出された地域でも、ワクチン接種の証明か、検査による陰性の証明のいずれかを確認することで行動制限を緩和する、「ワクチン・検査パッケージ」制度を打ち出していて、接種証明の活用への関心が高まっています。
接種したことを示す書面は、自治体で受けた場合に発行される「接種済証」と、接種券を持たずに職域接種などを受けた場合に渡される「接種記録書」の2種類があります。
しかし、こうした書面について、自治体の窓口には「紛失してしまった」とか「記録書だけでなく接種済証もほしい」といった問い合わせが相次いでいて、NHKが東京23区に取材したところ、集計していない4つの区を除いた19の区の合計で、今月下旬までに少なくともおよそ1万6000件分を再発行していたことがわかりました。
多いところでは、ことし5月から対応していた文京区がおよそ5000件、足立区で1500件余り、江戸川区でおよそ1500件、大田区でおよそ1400件、渋谷区で1300件余りなどとなっています。
接種のデータは、国のシステムに記録されていて、多くの自治体で記録を調べ直して確認が取れれば再発行する対応を取っていますが、3回目の接種も控えるなか、再発行の業務の負担が重くなっているという声も出ています。
内閣官房の担当者は「ワクチンを接種した時に受け取った書面は必ず手元に残し大切に保管してほしい」と呼びかけています。
東京・品川区では高齢者の接種が始まったことし5月ごろから「接種済証を紛失してしまった」という問い合わせが寄せられ始め、区独自の証明書を発行する形で対応してきました。
これまでに528件分を発行していて、特に緊急事態宣言が解除されたあとは問い合わせや申請が増えていて、先月以降、300件以上が寄せられているということです。
発行は紛失した人だけを対象にしていて、担当の職員が国の記録システムをもとにしたデータベースにアクセスし、申請者の名前や住所、生年月日などからワクチンの接種記録を探します。
記録が確認されると、接種した日付などを入力した区独自の証明書を、郵送や窓口で渡しているということです。
品川区保健所の新型コロナウイルス予防接種担当課の豊嶋俊介課長は「1件の発行にもいつ、どこで接種したのか正確に確認する作業が必要になるので、それなりの労力や時間がかかります。さらにいま、3回目接種の準備も同時に進めているので、今後さらに再発行の問い合わせが多くなっていくと、ワクチン接種の業務全体に影響が出かねません。接種済証などはワクチンを打った後も大切に取っておくように改めてお願いしたい」と話していました。
ワクチンの接種証明をめぐっては、観光業界でも、接種を証明する書面の提示を条件としたツアーが実施されるなど、活用が始まっています。
添乗員付きのバスツアーなどを企画する都内の旅行会社では、利用者からの要望を受け、ワクチン接種を2回終えた人を対象としたツアーを先月から実施しています。
26日は、群馬県沼田市の温泉旅館に1泊するツアーが実施され、埼玉県内の集合場所では出発を前にバスの添乗員が、参加者12人ひとりひとりに接種を終えたことを証明する「接種済証」や書面を撮影した画像を提示してもらい、免許証などで本人確認をしていました。
旅行会社は、こうしたツアーを行う一方でワクチン接種をした人に限定しない従来のツアーも続けていて、今後も感染状況を見極めながら対策を講じていきたいとしています。
ツアーに参加した60代の女性は「本来はこうした確認が必要のない状況がいいのですが、旅行するには必要だということで持ってきました。安心感はあります」と話していました。
「クラブツーリズム」の広報担当、青木之さんは「不安を抱えている方もいるのでその不安を少しでも取り除くために企画しました。ワクチンの接種証明やPCR検査を活用したツアーを今後も展開していきたい」と話していました。
ワクチン接種済証再発行 東京23区 少なくとも約1万6千件|NHK 首都圏のニュース - NHK NEWS WEB
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