香港で7日、反政府的な絵本を発行したとして、言語聴覚療法の専門家5人が有罪判決を受けた。
絵本は、ヒツジがオオカミから村を守るという内容。当局は明白な政治的メッセージを含んでいるとして、発行した香港言語治療師総工会の黎雯齡氏、楊逸意氏、伍巧怡氏、陳源森氏、方梓皓氏を逮捕・起訴していた。
2カ月にわたる裁判の結果、政府が選任した郭偉健判事は、「反政府的な意図」が明白だとの判断を示した。
AFP通信によると、郭判事は判決で、「扇動的な意図は単なる言葉からではなく、子供の心に禁じられた効果を与えようとする言葉から生じている」と説明。この本の若い読者は、中国当局が香港の住民の生活を破壊する「邪悪な意図」を持って香港に来ていると信じ込まされるだろうと述べた。
被告の5人(年齢25~28歳)は無罪を主張していた。量刑は数日以内に言い渡される予定で、最長で禁錮2年の刑を受ける。5人はすでに1年以上勾留されている。
香港言語治療師総工会の創設メンバーである5人は、電子書籍で「ヒツジ村」絵本のシリーズを発行。その内容が、香港の民主派運動を子供たちに伝えるものだと、一部から指摘されていた。
絵本の1つでは、村を占領しようとするオオカミにヒツジたちが反撃する場面がある。別の本では、敵が汚らしく病気を抱えたオオカミとして表現されていた。
人権保護団体アムネスティ・インターナショナルのグウェン・リー氏は、「今日の香港では、オオカミとヒツジの絵が描かれた児童書を出版すると刑務所に入れられる可能性がある。このような『扇動』による有罪判決は、香港における人権の崩壊を示す不条理な例だ」と批判した。
めったに使われなかった法律を適用
香港では、中国政府が2020年に香港国家安全維持法(国安法)を制定して以来、市民的自由への弾圧が高まっている。
中国は香港の安定のために必要だと主張しているが、反政府派を抑圧するための法律だと批判されている。
国安法は扇動、分離独立の動き、反逆を禁止しており、抗議者の取り締まりや、香港の自治権の縮小を容易にしている。香港における政治や司法上の決定に、中国政府の意向が反映される度合いも増している。
今回有罪を言い渡された5人は国安法ではなく、イギリス植民地時代からある治安妨害行為を禁じた法律が適用された。この法律は、最近まではほとんど使われていなかった。
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ジャーナリスト組合の代表が逮捕
これとは別に、香港のジャーナリスト組合の代表が7日、逮捕された。数週間後に英オックスフォード大学で研究員となるため、香港を離れる予定だった。
逮捕されたのは陳朗升氏(41)。同氏が勤務するチャンネルCによると、公営住宅所有者の会合を取材中に警察に連行された。
警察は、身分証の提示を拒否し「非協力的」だった個人を逮捕したことを認めている。
絵本が「反政府的」だとして発行の5人に有罪判決 香港 - BBCニュース
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