ステーブルコインのガイドライン定める
金融庁は2023年に、海外発行のステーブルコインについて日本国内での流通を解禁する。
内閣府令などを改正し、ガイドラインを定めた後、2023年に施行予定の最新の「改正資金決済法」に合わせて適用する計画だ。日本経済新聞が報じた。
ガイドラインは、改正資金決済法に基づいて詳細なルールを示すものとなる。
国内発行のステーブルコインについては、発行者に対し担保となる裏付け資産を準備しておくことを義務付ける。発行者は銀行や資金移動業者、信託会社などに限定されるとした。
また、解禁予定の海外発行のステーブルコインについては、発行者側ではなく国内で当該トークンを取り扱う流通業者に資産保全を義務付け、あわせて送金上限額を1回あたり100万円に限定することも提案している。
海外発ステーブルコインの具体的な対象は現時点では不明だが、米サークル社と大手取引所コインベースが発行し、米ドルに価値を固定されたUSD Coin(USDC)などが該当する可能性がある。
マネーロンダリング(資金洗浄)対策としては、ステーブルコインの流通業者に氏名など取引情報の記録を求めることも盛り込む姿勢だ。金融庁は、ステーブルコインのガイドライン案について、26日以降に意見募集を開始する。
新たな改正資金決済法は22年6月に成立した。暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインの規制を実施し、通貨の発行を銀行や資金移動業者などに限定するというものだ。6月時点では、まだ詳細なガイドラインなどは規定されていなかった。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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Web3での活用見込む
一連の制度改正の背景には、政府も推進する次世代インターネット「Web3」上で、ステーブルコインが決済手段に使用されることを想定していることもある。ステーブルコイン決済により、国際送金がスピーディで低コストになる可能性にも注目している形だ。
ステーブルコインについては、デジタル庁のWeb3.0研究会でも10月に言及されていた。ステーブルコインが地域コミュニティのDAO(自律分散型組織)でも役立つのではないかという視点だった。
研究会メンバーの一人が、市町村が地域創生などに関して小規模なWeb3プロジェクトを立ち上げる際に、価格が安定しているステーブルコインが役立つ可能性を提示している。
自律分散型組織(DAO)とは
自律的に機能する分散型組織を指す。「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。
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アルゴリズム型ステーブルコインの規制強化か
一方、7日に公開された金融庁の天谷金融国際審議官によるプレゼン資料によれば、同庁は今後「アルゴリズム型ステーブルコイン」の規制を強化する可能性がある。
アルゴリズム型ステーブルコインは無担保型でもあることから、今年5月に崩壊したUST(TerraUSD)のように機能不全に陥った場合に金融市場に波及し得るリスクが指摘され、法定通貨担保型と比較して信頼性に欠ける側面も否めない。
天谷金融国際審議官は、金融安定理事会(FSB)が2020年に、「グローバルステーブルコインは価値の安定にアルゴリズムを使用してはいけない」「償還の権利を確実にしなくてはならない」と推奨していることに言及した。
こうした勧告も踏まえて、仮想通貨市場について包括的な方法で規制を整備していくと説明している。
金融庁、Web3見据え海外発行ステーブルコインの国内流通解禁へ - 株式会社CoinPost
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