南アフリカ共和国のヨハネスブルクで先週開催された新興5カ国(BRICS) 首脳会議における主要議題の一つは新興国市場全体のドル依存を減らすことだったが、債券発行では既にそれが起きつつある。
世界で利回りが数年ぶり高水準に上昇し、新興15カ国の債券がディストレスト水準で取引される中、新興国のドル建て債発行額は8月に入りわずか14億ドル(約2050億円)と、2021年以来の低水準に落ち込んだ。前年同月が45億ドル、今年の月平均発行額が154億ドルとなっているのとは対照的だ。
その結果、新興国市場やフロンティア市場では代替的な借り入れ手段がより主流になりつつあり、ESG(環境・社会・企業統治)目標などの優先課題を追求する投資家を一段と引き寄せている。プレーンバニラ(シンプル)な債券の供給減少も、投資家が既に保有している債券の価格を下支えする傾向にある。
マッケイ・シールズUKの新興国市場共同責任者、フィリップ・フィールディング氏は「需要が供給を上回れば、債券にとってはプラスの傾向だ」と指摘。新規発行が減少しているため、流通市場で新興国債を購入していると語る同氏は、「多くの場合、待つよりも、投資してから割安な新発債に乗り換える方が理にかなっている」と説明した。
世界的な金融状況の引き締まりで、借り手と投資家もシンジケートローンや自然保護関連証券、現地通貨建て債といった別の資金調達手段を模索するようになっている。こうした手段は、為替リスクや借り換えを巡る不確実性を最小限に抑えながら、政府の借り入れコストを軽減することができる。
ニューヨークの ボントベル・アセット・マネジメントのマネーマネジャー、セルゲイ・ゴンチャロフ氏は「新興国は債券発行が減り、地域の金融機関や超国家的な銀行、地元市場といった代替調達先に軸足を移している」と述べた。
中国の景気回復の失速や、米国債利回りが世界的な金融危機前以来の高水準に上昇していることも、代替調達先を求める動きに拍車をかけている。
ジュピター・アセット・マネジメント(ロンドン)の投資マネジャー、レザ・カリム氏は、「発行を待てる高格付けの発行体にとっては、先送りした方がより割安に発行できる可能性が高まる。一部の高利回り発行体にとって、金利は高過ぎ、資本市場へのアクセスも限られている」と指摘した。
原題: Emerging-Market Funding Gets Creative as Dollar Bonds Dry Up(抜粋)
新興国市場でドル建て債の発行減少、代替調達先を模索する動き ... - ブルームバーグ
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