米国債と銀行預金を担保とするトークン
機関投資家向けにブロックチェーン対応の投資商品を提供するOndo Financeは4日、米国債と銀行預金によって担保されたトークン化債権「USDY(USD Yield)」を発表した。そうしたトークンは世界初であると説明している。
Ondo FinanceのNathan Allman CEOによると、USDYは、ステーブルコインと同程度のアクセスしやすさを提供しながら、保有者に年間5%程度の変動利回りを付与するものだ。
USDYはUSDYを発行するための特別目的会社Ondo USDY LLCが提供するもので、関連企業の破産からは守られる仕組みである。また、債権者が優先して元本と利息の支払いを受ける権利を持つ優先担保債務として設定されており、保有者の安全性を高めている。
なお、USDYは、米国内で、または米国人に対して提供・販売されることはなく、今後もその予定はない。したがって、米国の証券法には登録されていない形だ。
米国以外の投資家は、Ondo Financeのプラットフォームで、USDYの鋳造と償還を毎日行うことができる。USDYの価格は米ドル価格と紐づけられている。
Ondo Financeは、USDYの特徴として主に以下を挙げた。
- 米国以外の投資家は二次市場でグローバルに取引できる
- 米国短期債や管理された高品質な銀行預金のポートフォリオによって担保されている
- 利回りを生み出す
- Ondoとは切り離されているため、仮にOndoが破産した場合でもUSDY資産は保護される
- 顧客身元確認やマネロン防止策含め規制を遵守している
ステーブルコインとの違い
Ondo Financeは、USDYと一般的なステーブルコインとの違いも説明した。
まず、ステーブルコインの場合は発行企業が倒産した場合に償還を受けられなくなる可能性があるが、USDYはそのような影響を受けない。
また、ステーブルコインは一般的に無利子であるが、USDYは利子を受け取ることができる。
さらに、第三者企業である米国の信託会社Ankura TrustがUSDYの検証や担保の管理を行う。Ankura Trustは、USDYローンチの60日以降から、発行者の資産の透明性に関する日次レポートを公開していく予定だ。
Ankura Trustは、もし仮にOndoが業務停止したり、USDY保有者へ適切に償還できなかった場合は、USDY保有者の投票に従って、USDYの担保となる資産を差し押さえ、USDY保有者に返済することになる。
Ondo Financeは、ステーブルコインの場合には一般的に、発行企業が償還リクエストに応えられなかった場合に自動的な事業閉鎖プロセスは存在しないため、ステーブルコイン保有者は裁判に訴えなければならないこともあると述べた。USDYの利点をアピールした形だ。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
▶️仮想通貨用語集
Ondo Financeとは
Ondo Financeは、2021年にゴールドマン・サックス出身のNathan Allman氏とPinku Surana氏によって米国で設立された企業だ。
2月には米国債をトークン化。7月には、暗号資産(仮想通貨)ポリゴン(MATIC)を推進するPolygon Labsとの提携を発表。その一環として、Polygon PoSブロックチェーン上で、トークン化された米短期国債ファンド「OUSG」をローンチした。
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