サイバー攻撃関連のリスクを引き受けるCAT債(大災害債券)、「サイバーCAT債」が、これまでのプライベート取引から公開市場に進出しようとしている可能性がある。
いわゆるCAT債は、2桁のリターンと引き換えに、保険で対応するのが難しいリスクを資本市場の投資家に移転する仕組みになっており、ハリケーンなどの自然災害を対象とすることが多かった。しかし、企業へのサイバー攻撃による潜在的な影響が保険で対応しきれないほど大きくなっているため、発行体はこうした機会を捉えようとしている。
保険リンク証券(ILS)を専門とする調査会社アルテミスによると、英保険会社 ビーズリーは1億ドル(約150億円)相当のサイバーCAT債発行の可能性を模索している。また、アクシス・キャピタルは、7500万ドル相当のサイバーCAT債を発行する準備を進めている。ブルームバーグが発行関連の予備的な文書を確認した。
アクシス・キャピタルとビーズリーの広報担当者は、この件に関してコメントを控えた。
投資家にとってCAT債の魅力は、米国債を上回るリターンだ。スイス再保険グローバルCAT債パフォーマンス指数は年初来で18%上昇。一方、ブルームバーグ米国債指数は約 1%下落している。
サイバーCAT債の発行体の目的は、失った収入、訴訟費用、規制当局による制裁金など、大規模なサイバー攻撃後に発生する可能性のある金銭的損失から身を守ることだ。
ただ、分析可能な過去のデータが限られていることに加え、サイバー犯罪の形態が一段と巧妙化しているため、投資家は非常に高水準のリスクに直面している。
CAT債に定期的に投資している英ヘッジファンド、 テナックス・キャピタルのポートフォリオマネジャー、マルコ・デラ・ジャコマ氏は「ハリケーンの場合、何十年ものデータがある。しかし、サイバーリスクを評価するのはより難しい」と指摘する。
これまで発行されたサイバーCAT債は、ビーズリーによる3本の私募債を含め、一握りにとどまっている。アクシスやビーズリーが発行すると予想される新たな証券が注目すべきなのは、流通市場で取引される可能性が高く、ヘッジファンドや年金などより幅広い投資家のプールにアクセスを提供すると考えられるためだ。
関連記事:
原題: Cyber ‘Catastrophe Bonds’ Are About to Test Public Debt Markets(抜粋)
サイバー攻撃対応CAT債、投資家のアクセス拡大か-各社が発行計画 - ブルームバーグ
Read More
No comments:
Post a Comment