丸井グループはクレジットカード会員を対象としたセキュリティートークン債(デジタル債)を5月にも発行する方針だ。国内の事業会社によるデジタル債の公募発行は初めて。年限は1年で利息は破格とも言える1%の高水準を実現させる。加藤浩嗣・最高財務責任者(CFO)に発行の狙いを聞いた。
デジタル債はブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、電子的に発行される債券。2020年の改正金融商品取引法の施行で発行が可能となった。デジタル化によって発行体はより柔軟な条件や金額で社債を発行できる。従来型の証券会社を介した発行と異なり、発行体が社債保有者を把握し、利息をポイントなど金銭以外で支払うといったことも可能だ。
709万人を抱える丸井Gの「エポスカード」会員の半数超は30代までの比較的若い世代。加藤CFOによると、同社が実施したアンケートでは、社会貢献活動に関心を持つ会員が約8割に上ったという。一方で、将来に対する生活不安も高まっており、その大きな要因が経済面だ。
そこで「カード会員の社会貢献と資産形成が両立できる仕組みを作りたい」として出した答えがデジタル債。ソーシャルボンド(社会貢献債)として、5月にも年限1年のデジタル債を1億円程度発行する 予定。初の試みであるためまずは少額とし、どの程度の投資需要があるのか見極める。
利息1%のうち0.7%分はエポスポイントで支払う仕組み。メガバンクの円の定期預金の利率(0.002%)と比べると500倍の水準となる。
加藤CFOは「デジタル債は直接ホームページで販売するため、証券会社を通じた通常の社債よりもコストが低い」と指摘。利子の一部をエポスポイントで支払うことで、丸井Gとしては「カードを長く使ってもらえることは非常にメリットになる」との認識だ。
今回、デジタル債で調達する1億円の他、3月に一般の個人投資家向けに発行した社会貢献債の13億円を合わせた総額14億円を、マイクロファイナンスを手掛けるパートナー企業の五常・アンド・ カンパニー(東京都渋谷区)とクラウドクレジット(同中央区)を通じ、インドやメキシコなど新興国の個人や中小企業、女性起業家などへの融資に充てる計画。
丸井Gは小売りとフィンテックに加え、社会的インパクトの創出と収益の双方を目指す「 未来投資」と呼ぶスタートアップなどへの投資事業をビジネスモデルの柱に位置付けている。昨年11月時点で投資先は31社。加藤CFOは、初のデジタル債発行が順調に進めば、国内での融資などを目的とした継続的な発行も「資金ニーズに応じて考えていきたい」としている。
丸井Gの「デジタル債」、カード会員の声から誕生-利息は1%を実現 - ブルームバーグ
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