レバンガ北海道提供
レジェンド折茂武彦の引退記念NFTを手に入れられるのは、レバンガファントークン保有者だけ。
ファンクラブを始めオンラインサロンの開設と、ファン、ブースターとクラブがより深く繋がる方法を模索してきたレバンガ北海道。新型コロナウイルスの感染拡大で経営に厳しさが増す中、2022年3月に新たな一手として始めたのが、デジタルアイテム「トークン」の新規発行だ。保有すればレバンガの運営に関わることができ、保有量が多ければ多いほど運営への発言力も高くなる。「応援の証」とも言われ、スポーツ界で導入するクラブが増えているトークン。一体どんな仕組みなのだろう。(石川仁美)
■経営の一端に参画
「一方通行で楽しんでもらうだけではなく、ファン、ブースターのみなさんと双方向性をもって良いものを作っていきたい」
レバンガの横田陽CEOは、トークン発行の狙いをこう語る。
レバンガが導入したトークンは「フィナンシェ」(東京)が発行する。ただし、このトークンは金融商品取引法上の有価証券ではなく、資金決済法上の暗号資産にも当たらないポイントのようなものだ。トークン保有者の需要に応じて価格が変動し、アプリを通じてトークンの売買ができる。
フィナンシェは「新しいクラウドファンディング」をうたうプラットフォームを運営し、「プロジェクトを支援する新しい方法の普及」を目指している。国内のファントークン発行の先駆け的な存在で、現在サッカーやバスケットボールのプロや地域リーグなど、約60のチームが導入している。
【レバンガ北海道×フィナンシェ】ブースター向けトークン説明会
既存のクラウドファンディングとの最大の違いは、トークンをファン、ブースター同士で売買する2次流通ができる点だ。そして、トークンホルダーは、経営の一端に関わることもできる。株主ほどの権利はないものの、トークン保有数に応じてグッズデザインを決める投票権や特別イベントへの参加などの特典を受けることができる。
■稲本潤一の年俸の一部もトークンで
トークンはデジタルデータとして発行されるためコストが低く利益率は高い。売り上げ(出資)の80%をクラブの収益にできることが魅力だ。2次流通した場合でも、売り手が支払う手数料の一部がクラブに還元され、発行元のクラブやチームは継続的に収益を得ることができる。ファンも売買で利益を得られる可能性がある。
国内では、サッカーJ2の湘南ベルマーレが2021年1月に導入した。初回売り出し期間の1カ月半で576万円を売り上げたことで一気に注目を浴びた。また、関東サッカーリーグの南葛SC(東京・葛飾区)は、初回で44255万円の売上を記録。所属する元日本代表の稲本潤一選手の年俸の一部をトークンで付与している。
バスケットボール界では、2022〜23年シーズンにB1に昇格する仙台89ERSを皮切りにレバンガを含めたB1・B2・B3の計7チームが導入。2021年8月に発行を始めたB1横浜ビー・コルセアーズの初回の売り出しは1276万円にも達した。
■ユベントス、パリ・サンジェルマンが先駆け
世界的にスポーツクラブのトークンが注目を集め始めたのは3年ほど前から。2019年にイタリアセリエAの名門ユベントスFCが発足したのがきっかけだ。2020年には、フランスサッカーリーグの名門パリ・サンジェルマンのトークンの価格が、大手暗号資産取引所上場後24時間で2倍に上昇。移籍してきたリオネル・メッシの契約金の一部をトークンで支払ったと発表すると、価格は跳ね上がった。投資のような感覚で保持するファンも増えており、クラブとの関係性を深めるアイテムとして世界的に広まりつつある。
ファントークン普及の背景にはコロナ禍の影響もあるという。フィナンシェの田中隆一取締役COOは、「新型コロナウイルスの流行で、スポーツ観戦に行けないファンも増え、体験価値が低くなってしまったことが背景にある」と分析する。それまでは、スタジアムやアリーナで観戦し、グッズを購入する消費活動がファンの「応援」活動の中心だったが、コロナ禍で観客の足は遠のいた。そこで着目されたのがトークンというわけだ。
レバンガ北海道も、以前は1試合平均4000人近い観客を動員していた。しかし、コロナ対策で会場収容率を50%に抑えた時期もあり、2021〜22年シーズンは1898人と、ピークだった2019〜20年シーズンの半数に。2021年12月29日から定員を100%に戻したものの、横田CEOは「ブースターが会場に戻ってこない」とため息をつく。この間、ネット配信やテレビで自宅観戦する人が増えるなど、ファンの動向も大きく変化した。そこで注目したのが、フィナンシェのトークンだった。
■クラブ成長のエンジンに
Bリーグの各チームは、2026年の新リーグ構想もあり成長し続けなければならない。B1参入要件の<1>ホーム平均観客数4千人以上<2>年間売上12億以上<3>2028〜29年シーズンまでにアリーナにラウンジやVIPルームを設けるーといったハードルを越える必要がある。
レバンガの過去最高の売上は2019〜20年シーズンの7億9200万円、観客数も同年の3764人。これを満たすのは容易ではない。トークン導入の背景には、ファン層の拡大という思惑もある。実際、先んじてフィナンシェのトークンを導入した湘南ベルマーレは新しいファンの発掘に成功した。「価格が上がるのではないか」という、投資目的で湘南のトークンを買った人たちだ。
また、クラブ経営に参画したいという層を発掘し、ファンの裾野を拡大することが狙いだ。「そんな方々がトークンをきっかけにグッズデザインの投票企画などに参加して、クラブチームのことを知ると、スタジアムに行こうとかという流れが生まれる」とフィナンシェの田中取締役COO。現在、約2000人いる湘南のトークンホルダーの半分は、元々フィナンシエのプラットフォームのユーザーで、トークンを入り口にクラブを応援するようになった人だと、フィナンシェはみている。
■スケールある取り組みにアイデアを
5月13日に終了した、レバンガトークンの初回売り上げ総額は130万円だった。54人が購入し200万トークンが発行された。他のスポーツクラブと比較すると思っていたような数字ではなかった。
とは言え、担当するレバンガの池田壮輝さんは「中長期的な視野でトークンホルダーの方々との共創を考えています。今後、イベントなどを通じてコミュニティ内での交流を活性化し、レバンガトークンの価値をより高めていきたい」と話す。
まずは、6月の折茂武彦代表の引退試合開催を記念して、折茂代表のNFT(非代替性トークン)を発行する予定だ。初回の販売で10万円分のトークンを購入したホルダー限定の特典だ。また、2022〜23年シーズン開幕前に2回目のトークン販売をし、シーズン中のメモリアルレコードや新加入選手などのNFT配布も計画しているという。
NFTはBCの活用により複製ができないため、本物であることや、所有者を簡単に証明できるデジタルコンテンツ。レバンガは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といったネット上のメタバースに「レバンガシティ」をつくり、選手とファンが交流する構想を進めている。メタバース内で販売し、飾って見せることができるNFTの発行は、現在進めている事業との相性もよさそうだ。
さらに、レバンガが強化したいのはSDGsへの取り組み。横田CEOは「社会貢献は以前から力を入れてきたことですし、スポンサーの皆さんのニーズが大きい。でも、内側だけではスケールのある取り組みができない」と、課題を示した上で、「トークンを保有すれば株主っぽくなれるのも魅力。ホルダーの知見を借りて、SDGsへの取り組みも強化してクラブを成長させたい」と構想を語る。
レバンガのトークンやNFTは、クラブの成長にどれだけ寄与するか、新しいファン、ブースター獲得につながるか、そしてファンにどんな価値を提供していくのかー。発展途上のチームが成長する起爆剤となる可能性を秘めている。
<フィナンシェ レバンガ北海道ページ>
https://financie.jp/users/levanga/cards
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