政府は22日、首相官邸で開いたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、関連政策に関する基本方針を示した。政府の脱炭素投資の原資を賄うGX経済移行債(仮称)は、通常の国債と同一商品とする案と、独立した別商品としての発行を検討する案の両論を併記し、世界初のトランジション(移行)国債の誕生にも可能性を残した。
実行会議の運営事務局によると、2023年度のGX債の発行額は1兆6000億円程度となる。
脱炭素の世界的な潮流を背景に、岸田文雄首相は5月に関連政策を進めるための手段としてGX債の発行を検討することを表明。主要7カ国(G7)では、日米を除く5カ国がグリーン国債を発行しており、日本の新たな国債がどう形作られるかは国内外からの注目を集めてきた。
実行会議で示した基本方針では、GX債を23年度以降10年間にわたって毎年度、国会の議決を経た金額の範囲で発行することを明記した。経済産業省などが所管するエネルギー対策特別会計から発行する枠組みとし、一般会計と分けて歳入と歳出を管理する。来年の通常国会に関連法案を提出する。
発行方法については「これまでの国債と同様に、同一の金融商品として統合して発行することに限らず、国際標準に準拠した新たな形での発行も目指して検討する」とした。事務局の担当者は、トランジションボンドとしての発行も検討すると話す。
もっとも、別商品として発行するには、流動性の確保や国際的な認証を取得することなど課題が少なくない。このため、関係省庁による検討体制を早期に発足させる方針も盛り込んだ。
すでにグリーン国債を発行するカナダは、トランジションを含む新たなESG(環境・社会・企業統治)国債の 検討も進めるが、ブルームバーグのデータによれば現時点でトランジション国債はまだない。
また、GX債の償還財源となる炭素賦課金の徴収などを担う、新たな組織を立ち上げる方針も示した。償還財源は、28年度に導入する炭素賦課金に加え、電力会社に二酸化炭素(CO2)の排出枠を買い取らせる制度を33年度から始めることで捻出する。
基本方針は今後パブリックコメントを募る期間を設けた上で、来年閣議決定する見通し。
GX債、発行方法は両論併記-世界初のトランジション国債も視野 - ブルームバーグ
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