日本銀行がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)運用の一部 見直しを決めたことで、住宅ローン金利に上昇圧力がかかりそうだ。固定金利の動向と密接に関わる住宅金融支援機構の住宅ローン担保証券(RMBS)の12月の発行利率は、およそ8年半ぶりの高水準となった。
RMBSは住宅機構が毎月発行している。主幹事のみずほ証券によると、12月債の発行条件は22日、国債上乗せ金利(スプレッド)が56ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、発行利率は1.02%に決まった。929億円を発行する。
住宅機構の データによると、スプレッドは11月債から5bp拡大し、2016年1月以来の高水準。YCC修正でベースとなる10年債利回りが11月の起債時から上昇しており、発行利率は14年5月以来の水準に切り上がった。
固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利はRMBSの投資家に支払う利息などで 構成される。12月債の利率が大幅に上がっており、大和証券の松下浩司チーフ証券化ストラテジストは、ローン金利も今後「いくらかは上がらざるを得ない」と話す。
フラット35は 12月、借入期間が21年以上35年以下の場合の最低金利が1.65%と、14年秋以来の 高水準に上昇している。住宅機構・市場資金部債券発行グループの担当者はメールで、金利は10年国債利回りなどを勘案して設定しており、年限ごとの市場金利などを反映した結果だと説明、具体的な設定方法については回答を控えた。
野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは、日銀による指し値オペなどで10年債利回りはYCC修正後も引き続き他の国内債券と比べて低く抑えられていると指摘。RMBSのスプレッドは今回も拡大しやすかったとした上で、先行きの政策修正は既に「かなり織り込まれている」ため、さらに修正期待が高まらなければ今後は「RMBSの金利も上がらない可能性は十分にある」と述べた。
機構の資料によると、フラット35の申請戸数は今年、 7-9月期までの各四半期で前年同期の70%台にとどまっている。大和証の松下氏は、長期金利の上昇や、資材や人件費の高騰による住宅価格の上昇のしわ寄せを受けていると説明。今後もローン金利が上がれば税制面などで競争力の高い変動ローンが検討されやすくなるとした上で、中長期的に利上げの可能性も見据えると一部を固定で借りておく需要もあるとみている。
(第6段落を追加して更新しました)
日銀修正で住宅ローン金利に上昇圧力、RMBS上乗せ金利が7年ぶり高水準へ - ブルームバーグ
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