日本銀行による昨年12月のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)修正を受け、国内社債市場で起債延期などの影響が出てきた。日銀は修正目的をゆがんだ利回り曲線の正常化など国債市場の機能改善とするが、さらなる修正への警戒感もあり今のところ起債環境の明確な改善には至っていない。
オリエントコーポレーションは12日、1月中に予定していた社債2本の起債を延期すると明らかにした。財務部IR室の小紫礼子・課長代理は電話取材で、政策修正後の金利上昇を受け投資家が新発社債を買い控えており、「今後の経済環境の不透明感からフェアバリューより高い発行レートを求められた」と説明した。 住友不動産もYCC修正後の昨年12月下旬に環境債の起債を延期している。
代表的な債券指数の野村BPIによると、国内発行体の円建て社債は足元で、平均スプレッド(上乗せ金利)が2020年5月以来、平均利回りが13年6月以来の高水準にある。海外での大幅利上げを受け日銀もいずれは金融緩和策の修正に動くとの見方から社債スプレッドは22年を通して拡大してきたが、YCC修正後もこの傾向は続いている。
大和証券の大津大デット・キャピタルマーケット第3部副部長は、市場では日銀があまり遠くないタイミングで10年債利回りの上限を少なくとも0.75%に再拡大する可能性への警戒があると指摘。社債スプレッドも国債金利が落ち着くまで、リスクプレミアムとして拡大する公算があるとみている。
事業会社による23年の起債は、13日に予定される東京電力パワーグリッドと東北電力、JR東日本が先陣を切る見通しだ。これらの銘柄が需要調査で投資家に提示している発行利率や国債スプレッドの水準も、発行コストが政策修正前より上昇することを示唆している。
野村証券キャピタル・マーケット部の河田寿DCMグループ次長は、国債利回りは全体的にカーブが上昇したまま逆イールドが発生しており、引き続き国内社債のプライシングの難しさは残っていると指摘する。金利上昇で投資家が保有する債券の含み損も膨らんでいるとし、社債への投資需要は4月の日銀会合を見極めた上で「5月からようやく回復基調に入るという展開ではないか」との見方を示した。
社債発行環境の改善はまだ見えず、YCC修正受け企業は起債延期も - ブルームバーグ
Read More
No comments:
Post a Comment