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Wednesday, March 22, 2023

メガバンク発行のAT1債、売り圧力もクレディS債とは違うとの見方 - ブルームバーグ

UBSグループによる買収が合意された クレディ・スイス・グループが発行する資本性のある債券「その他ティア1債」(AT1債)が 無価値となる中、国内金融機関の永久劣後債にはやや売り圧力がかかっている。海外でAT1債の発行コストが 急上昇する一方で、専門家からはメガバンク発行分では一定の投資家保護の仕組みがあるなど事情が異なるとの指摘が出ている。

  ブルームバーグのデータによると、20日時点で国内金融機関のAT1永久劣後債は下落。 三井住友フィナンシャルグループの発行から5年6カ月後に期限前償還(コール)が可能になるNC5年6カ月債は、前営業日比42銭安の99円45銭、NC10年債は1円85銭安の98円9銭。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のNC5年4カ月債は25銭安の98円9銭、NC10年4カ月債が1円51銭安の94円37銭。 みずほフィナンシャルグループのNC5年6カ月債は54銭安の99円53銭だった。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、国内のメガバンクに特段経営不安が生じているわけではなく、クレディS債とは状況が異なると指摘。その上で、クレディSの事例は久しぶりに国際的に重要な金融機関の債券が毀損(きそん)する話だったため、「いったんクレジットリスクを再評価する動きにならざるを得ない可能性がある」とし、国内の投資家は期末を控えていることもあり、慎重なスタンスになりやすいとみる。

Japanese Mega Banks Ahead of Earnings Figures

3メガバンクなどの看板

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  AT1債は、調達資金を普通株等自己資本(CET1)を補完するティア1(中核的自己資本)に算入できる債券。スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)がウェブサイトに掲載した声明によると、クレディSのAT1債の価値はゼロに切り下げられる。株式が一定の価値を残す一方で、AT1債が無価値となったことで市場は 動揺した。

  AT1債に償還期限はないが、コールを設定することができる。債券としては弁済順位が低い分、金利は高めに設定される。国内では、三井住友FGとMUFGが4月にそれぞれ起債する予定となっている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリストは、22日付リポートで、日本の3メガバンクが十分なCET1を確保していることを指摘し「邦銀は仮にAT1債を今後コールのタイミングでコールしてリファイナンス(再調達)しなくても、必要資本水準を満たすことができる」との認識を示した。

  また、SMBC日興証券の阿竹敬之シニアアナリストは22日付のリポートで、邦銀が発行するAT1債のほとんどは元金回復特約が付されているとし、「CET1比率が大幅に低下して債務免除がなされても、AT1債に1円の備忘価値が残る」と指摘。将来的にCET1比率が回復した場合、元本を回復することができる仕組みになっているAT1債が多いといい、「実質破綻や倒産手続き開始にならない限り、将来的に元本が戻ってくる可能性がある」と説明している。

(3段落目に市場関係者のコメントを追加するなど全体に加筆しました)

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