オーストラリア政府は10日、気候変動による壊滅的な被害を受けているツバル国民にビザ(査証)を発行する画期的な協定に合意した。
太平洋の環礁と島々からなるツバルは、気候変動による海面上昇の危険にもっともさらされている国の一つ。人口は1万1200人で、気候変動に対してより大きな対策を取るよう、繰り返し世界に訴えてきた。
オーストラリアの公共放送ABCによると、同国が気候変動を理由に外国人に居住許可を与えるのは、今回が初めてだという。
ニュージーランドとアメリカも、パラオ、ミクロネシア連邦、クック諸島など、他の太平洋諸国と同様の協定を結んでいる。
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この協定により、毎年最多280人のツバル国民に対し、オーストラリアで居住・就業・就学が可能なビザが与えられる。
また、オーストラリアがツバルを軍事的侵略から守る一方で、ツバルはオーストラリアの承認なしに他国と防衛協定を結ばないとした。
さらにオーストラリアは、ツバルの気候変動への適応を支援する。これには、主要島の面積を6%拡大させる事業に対する、1690万豪ドル(約16億2700万円)の資金提供も含まれている。
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、「ファレピリ・ユニオン」と呼ばれるこの新協定について、オーストラリアと太平洋諸国との間で結ばれた「これまでで最も重要なもの」だと話した。
「きょうは、オーストラリアが太平洋の家族の一員であることを認めた重要な日だ。そしてそれには、行動する責任が伴う」
ツバルのカウセア・ナタノ首相は、この合意は「希望の光」であり、「単なる通過点ではなく、地域の安定や持続可能性、繁栄を確保するという我々の共同ミッションにおける大きな飛躍」だと話した。
デジタル空間で国家を維持
ツバルは長年、海面上昇から国土を守るために苦労を重ねている。
今年9月には憲法を変更し、気候変動やその他の影響によって物理的な領土が失われたとしても、永続的に国家としての地位を維持すると明記した。
1月には、自国の歴史と文化を保存するため、米メタが提供するデジタル空間「メタバース」に、デジタル版ツバルを構築することを宣言している。
オーストラリア、気候変動理由にビザ発行へ 壊滅被害のツバル国民に - BBC.com
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